私達の狂った歯車
★依恋side★
「ねえ、依恋。麗王まだ来ない?」
羅音が不思議そうに辺りを見回す。
「あー」
「麗王は桜花の方に行ってるよ。もうすぐ帰って来ると思うんだけど」
分かんない、そう言おうとしたら希が麗王の居場所を羅音に教えた。
そういえば、麗王は最近ずっと桜花学園に顔を出している。
しかも、この頃やたらと機嫌が良い。
でも、何があったのかは聞かない。
本人が言い出すまでは聞かない、探らない、気にしない。
それは昔からS・Aの中での暗黙の了解だ。
「おはよう」
宙があくびをしながら温室へ入ってくる。
「はあ?人数増えた?」
宙は少し寝ぼけている様だ。
「あ、孤廻と羅音じゃん。帰って来たのか」
宙はそう自己完結し、目を擦る。
「うん。帰ってきたよ」
「あ、ヤベぇ。寝たい。眠い。」
孤廻の言葉が聞こえていないのか、宙は伸びをしたり体をねじったりする。
「おい、人の話をちゃんと聞け」
羅音は宙の肩を掴んだ。
「ああ?あ、羅音。なあ、今俺すげぇ眠い」
「そうか。じゃあ寝て来い」
羅音はベッドのある部屋を指差す。
「おう」
宙はふらふらとした足取りでベッドルームへ行く。
その時、温室の扉が再び開いた。「ん、はよ」
現れたのは叶夜だった。
マリアがいなくなった翌日がら付けていた、あの伊達眼鏡は付けていなかった。
叶夜は変わった。
いや、変わったというより、元に戻ったんだ。
「あ、叶夜や!おはよう!昨日は家まで送って貰ってごめんね」
姫莉は叶夜に駆け寄った。
叶夜、昨日姫莉を家まで送ったんだ。
「ねぇ、宙見なかった?」
「宙ならベッドルームに行った。多分寝てると思う」
羅音は叶夜の目を見て言う。
「ん、ありがとう」
叶夜は礼を言い、姫莉と共に宙のいるベッドルームへ入って行った。
気が付いていないのか、わざとなのか、叶夜は一度も孤廻と羅音の事について触れなかった。
でも、それはきっと叶夜なりの配慮なのだろう。
『お帰り』などの言葉を言わない事で、あたかもずっと一緒にいた様な・・・。
何処にも行っていなかった様な・・・。
「おはよー!」
麗王が元気良く扉を開けた。
「あ、孤廻お帰り〜!はあ、随分と背が伸びたね。何気にイケメンになってるしぃ?成長したね。まあ、主に背とか身長とか身長とか?」
顎に手を当て、評価する様に孤廻を見る。
「嫌味かよ」
孤廻は笑って、麗王の髪の毛を掻き乱す様にして撫でる。
「わっ!ちょ、ちょっと!」
麗王は必死に孤廻の手を両手で掴み、阻止しようとする。
「何処ぞのカップルだわ」
希は腹を抱えて笑い、孤廻と麗王を茶化す。
「カップルじゃねぇよ」
「てか、僕好きな子いるし!」
「え・・・」
麗王の突然のカミングアウトにみんな言葉を失う。
・・・ただ1人を除いて。
「おい、お前絶対俺の事無視してるだろ」
そう、羅音だ。
羅音は腕を組み、仁王立ちしている。
顎を突き出し、麗王を見下した目になっている。
完全に怒っている様だ。
やってしまったな、麗王。
「え〜?何の事?」
麗王は左手の人差し指を頬に当て、上目遣いでとぼける。
「・・・あぁん?」
羅音は眉を寄せ、ガムを膨らませる。
そこで放送が鳴った。
放送は理事長の凛とした声で始まる。
『皆様ご機嫌よう。風林泉でございます。S・Aクラスの生徒6名、転入生2名は只今より5分以内に理事長室までお願い致します。至急、理事長室へ』
「これ俺達の事だよな?」
羅音は再びガムを膨らます。
どうやら麗王が無視した事は、もうどうでも良い様だ。
「そうだね。母さんが自分で放送ってどうしたんだろう」
希は考える素ぶりを見せたが、顔に焦りが出て来ている。
「取りあえず5分しか無い。早く行こ。叶夜!宙起こせ!」
「もう起こしている」
「おう、バッチリだぜ」
希が叫んだ瞬間、ベッドルームの扉が開かれ、中から3人が出て来る。
そして、全員で都市の中心部である理事長室へ向かった。
「ねえ、依恋。麗王まだ来ない?」
羅音が不思議そうに辺りを見回す。
「あー」
「麗王は桜花の方に行ってるよ。もうすぐ帰って来ると思うんだけど」
分かんない、そう言おうとしたら希が麗王の居場所を羅音に教えた。
そういえば、麗王は最近ずっと桜花学園に顔を出している。
しかも、この頃やたらと機嫌が良い。
でも、何があったのかは聞かない。
本人が言い出すまでは聞かない、探らない、気にしない。
それは昔からS・Aの中での暗黙の了解だ。
「おはよう」
宙があくびをしながら温室へ入ってくる。
「はあ?人数増えた?」
宙は少し寝ぼけている様だ。
「あ、孤廻と羅音じゃん。帰って来たのか」
宙はそう自己完結し、目を擦る。
「うん。帰ってきたよ」
「あ、ヤベぇ。寝たい。眠い。」
孤廻の言葉が聞こえていないのか、宙は伸びをしたり体をねじったりする。
「おい、人の話をちゃんと聞け」
羅音は宙の肩を掴んだ。
「ああ?あ、羅音。なあ、今俺すげぇ眠い」
「そうか。じゃあ寝て来い」
羅音はベッドのある部屋を指差す。
「おう」
宙はふらふらとした足取りでベッドルームへ行く。
その時、温室の扉が再び開いた。「ん、はよ」
現れたのは叶夜だった。
マリアがいなくなった翌日がら付けていた、あの伊達眼鏡は付けていなかった。
叶夜は変わった。
いや、変わったというより、元に戻ったんだ。
「あ、叶夜や!おはよう!昨日は家まで送って貰ってごめんね」
姫莉は叶夜に駆け寄った。
叶夜、昨日姫莉を家まで送ったんだ。
「ねぇ、宙見なかった?」
「宙ならベッドルームに行った。多分寝てると思う」
羅音は叶夜の目を見て言う。
「ん、ありがとう」
叶夜は礼を言い、姫莉と共に宙のいるベッドルームへ入って行った。
気が付いていないのか、わざとなのか、叶夜は一度も孤廻と羅音の事について触れなかった。
でも、それはきっと叶夜なりの配慮なのだろう。
『お帰り』などの言葉を言わない事で、あたかもずっと一緒にいた様な・・・。
何処にも行っていなかった様な・・・。
「おはよー!」
麗王が元気良く扉を開けた。
「あ、孤廻お帰り〜!はあ、随分と背が伸びたね。何気にイケメンになってるしぃ?成長したね。まあ、主に背とか身長とか身長とか?」
顎に手を当て、評価する様に孤廻を見る。
「嫌味かよ」
孤廻は笑って、麗王の髪の毛を掻き乱す様にして撫でる。
「わっ!ちょ、ちょっと!」
麗王は必死に孤廻の手を両手で掴み、阻止しようとする。
「何処ぞのカップルだわ」
希は腹を抱えて笑い、孤廻と麗王を茶化す。
「カップルじゃねぇよ」
「てか、僕好きな子いるし!」
「え・・・」
麗王の突然のカミングアウトにみんな言葉を失う。
・・・ただ1人を除いて。
「おい、お前絶対俺の事無視してるだろ」
そう、羅音だ。
羅音は腕を組み、仁王立ちしている。
顎を突き出し、麗王を見下した目になっている。
完全に怒っている様だ。
やってしまったな、麗王。
「え〜?何の事?」
麗王は左手の人差し指を頬に当て、上目遣いでとぼける。
「・・・あぁん?」
羅音は眉を寄せ、ガムを膨らませる。
そこで放送が鳴った。
放送は理事長の凛とした声で始まる。
『皆様ご機嫌よう。風林泉でございます。S・Aクラスの生徒6名、転入生2名は只今より5分以内に理事長室までお願い致します。至急、理事長室へ』
「これ俺達の事だよな?」
羅音は再びガムを膨らます。
どうやら麗王が無視した事は、もうどうでも良い様だ。
「そうだね。母さんが自分で放送ってどうしたんだろう」
希は考える素ぶりを見せたが、顔に焦りが出て来ている。
「取りあえず5分しか無い。早く行こ。叶夜!宙起こせ!」
「もう起こしている」
「おう、バッチリだぜ」
希が叫んだ瞬間、ベッドルームの扉が開かれ、中から3人が出て来る。
そして、全員で都市の中心部である理事長室へ向かった。