私達の狂った歯車
「・・・で?自分の話に自分で感動してる所悪いんだけど、で、何?名前が変わるだけ?それならわざわざ俺達呼ぶ事ねぇじゃん」
羅音はそう言って、ガムを膨らませる。
名前が変わるだけ?
他は何も変わらない?
「クラスの名前がS・Aから“ナイトクラス”に変わるだけって事?」
孤廻は首を傾げた。
双子の羅音はともかく、昔から孤廻とも考えが似ていた。
だから、ずっと一緒にいれた。
言葉を交わさなくとも一緒にいれた。

「そうよ?名前だけ。それ以外変更は無いわ」
泉は微笑んだ。

「はあ?なら呼び出すなよ。あー、クソ眠い。マジ迷惑だわー」
宙はあくびをして理事長室から出て行った。
「今度からはさ、電話にしてくんない?放送とかマジ有り得ないから。こんな人の子供とか冗談だと思いたい」
希は舌打ちをして出て行った。
「本当だよ。呼び出さずに勝手にやってよね。自分で自己完結してよ」
麗王は一度理事長を睨み、出て行く。
叶夜と姫莉は、何も言わずに出て行った。
羅音と孤廻は笑いながら理事長を後にする。

私も温室を出て行こうと、理事長に背を向ける。
すると、カーディガンが何か物凄く強い力で掴まれた。
「待ちなさい、依恋」
理事長だ。
「え・・・」
「私を慰めなさい」
恐る恐る振り返えると、理事長が涙目になっていた。
「あの子達・・・!そこまで言わなくったって良いじゃないっ!そんな子に育てた覚えはないわ!」

この日は、理事長の話を聞いていたら放課後になっていた。
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