私達の狂った歯車

今日は久々の全校集会だ。

何故こんな大人数で･･･。
疲れるじゃないか。
私達S・Aは座っているが、座っている方が疲れる。
何もやる事が無くて、私達は上のテラスで一般生徒を眺める。
私達というのはもちろんS・Aだ。

「薙切依恋様と佐田叶夜様の親御さんが結婚しましたので、今日から薙切依恋様の苗字が佐田に変わります」
再婚したら子供も苗字が変わるのは知っていた。
だけど、実感が湧かない。

「あ、すいません！これ」
一人の先生が学園長に一枚の紙を渡す。
「あ、はい。変わるはずでしたが、特例でこのままだそうです。皆さん、姿勢を正してください。次に理事長の話です」
理事長は黒く長い髪を揺らして階段を上る。
そして、教壇にバンッと手を置く。
強い光が宿った緑色の瞳が綺麗だ。

「えーと。･･･頑張れ」
すごくシンプルだ。
こういう先生は凄く好き。
だが、この先生は理事長だ。
良いのか？
理事長がこういう性格だから、この学園も凄く白黒とハッキリしている。
何故か疲れが私を襲う。

「希、私温室帰る。みんなに言っておいて」
「は！？」
希の返事も聞かず、私は体育館を出る。
私は素早く走り、軽やかにエレベーターに飛び乗った。
そして一階のボタンを押して光っている数字をじっと見つめる。
ドアが開き再び走った。

だけど途中で疲れたので歩いて温室へ向かう。
温室のドアを押して中へ入る。
柔らかい花達の香りが一斉に私を包み込む。
さて、これから私は何をしよう。
落書きしようと思いカバンから筆記用具を取り出そうと、カバンを漁る。
あ、筆記用具、ない･･･。
ゲームでもしようかなと思い隣の部屋へ行って、電源をつける。
あ、充電してない。
スマホなら何かあると思い、ブレザーからスマホを取り出しホームを開く。
あ、アプリ入れてないわ。

何もやる事がない。
私は諦めて寝ようと思い、机に伏せて目を瞑った。
寝れないと思ったが、意外にもすぐに意識が遠くなっていった。