私達の狂った歯車
「・・・きろ、起きろ。依恋」
宙に叩き起こされる。
ゆっくりと体を起こし、辺りを見る。

麗王以外が揃っていた。
「あ、起きた」
「依恋、フランスの紅茶と、うち特製アップルパイ」
姫莉がアップパイを私に差し出した。
いや、寝起きでアップパイはキツイよ。
「・・・ごめ」
「俺が食べる!」
希の伸ばした手を姫莉が叩いた。
「痛った。なんだよ!」
「依恋が先やて!はい、あーん」
姫莉の言われるがまま口を開ける。
一口サイズに切ってくれたアップルパイが口に入って来る。
「ん、おいし」
「やろ?はい、紅茶」
姫莉がコップを私の口に運んだ。

そこで麗王が遅れて来た。
「ゴメン、遅れた。」
「本当だよ。もっと謝れ」
希はアップルパイを口にいっぱいに詰め込んで言った。
「いやいや、そこは『うんうん、いいの♡』じゃないの?」
「・・・・・・・・・シェエエエエ!!!」
「誤魔化さない!」
「うるせー!チビ!」
「黙れ」

「「「「なんの茶番だよ!!」」」」
 
久々に、希と麗王の茶番を見た。
はあ、幸せだ。
こんな日々がずっと続けばいいのに。
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