人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
第二幕
唸り声を上げて進軍する無数の軍勢。

それは深く地の底から聞こえてくる、恨み募った呪詛のようでもあった。

…深い森に構えられた洋館。

この洋館に迫ってきているのは、人ならざる者達の軍勢だった。

ある者は腐れ果てた死臭漂う肉体を引きずり。

ある者はその腐肉すら持たぬ白骨と化した身で。

じりじりとこの館に近づいてくる。

進軍するのは目を疑うような、亡者どもの群れだった。

「…死から蘇った俺には似合いの相手か」

鼻で笑いつつ呟く。

俺は蘭花の方を見た。

「連中に心当たりは?」

「……」

蘭花は静かに頷く。

「私の命を狙う者の刺客と思われます」

「そうか」

ならば悠長に事情を聞いている暇はなさそうだ。

「事が済んだら話を聞かせてもらうぞ」

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