人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
静かに玄関の重厚な扉を開け、俺は外に出た。

途端に鼻をつく死臭。

目前には、亡者どもが大挙して押し寄せてきていた。

それはまさしく『死』そのものの波。

奴らは俺が人間だろうと人形だろうとお構いなしに、この身に食らいつき、その肉を食み、骨までしゃぶり尽くすつもりでいるようだった。

目の前で動くものならば全て餌食。

節操のない、悪食な死者達。

…死者はこの場にいるべきではない。

死者は死者のいるべき場所に還るべきなのだ。

「無論、俺もな」

自嘲しながら、俺は右手を大地にかざした。

そして念じる。

俺が戦場で振るう『相棒』とは、あの一振りのみ。

「出でよ、攻城刀(こうじょうとう)!」

俺の呼びかけに応えるように、地面に魔方陣が浮かび上がった。

そしてその中央から、ゆっくりと巨大な刀が姿を現す。

俺の身の丈よりも更に巨大な、日本刀にしては刃幅のある大きな刀剣。

『攻城刀』。

城攻めの際に、城門ごと敵兵を両断する為に作らせた、俺の唯一無二の愛刀だった。

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