人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
目の前にせり出してきた巨大な刀剣。

俺はその柄を握り締め、一気に大地から引き抜く!

「ぬぅんっ!」

大きく攻城刀を振りかざすと、それだけで風圧が起こった。

恐れ知らずの亡者達でさえ、その風圧に一瞬怯んだかのようにさえ見えた。

…攻城刀を無形の位(むぎょうのくらい)に持ち、俺は叫ぶ!

「我こそは剣豪、周防五郎之介時貞!剣に生きる武士なり!故あって貴様ら亡者を常世に送り返す為にあの世より馳せ参じた!」

切っ先を亡者どもに向け、吼える!

「ここより先は一歩たりとも進ませぬ!二度目の死を望む者のみかかってこい!」

それは、かつて戦場で口にした口上そのもの。

肉体は人形と化しても、俺の魂は、再び数百年前の戦場へと立ち戻っていた。

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