人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
恐らくは亡者の主だったのであろう娘が去り、この場は一応決着を見た。

攻城刀を魔方陣に納め、俺は館の中へと入る。

「終わったぞ」

部屋に戻ると、蘭花は力なく微笑んだ。

「有り難うございました、時貞様。何とお礼を申し上げたらいいか…」

「型通りの礼などいらぬ」

静かに目を閉じ、俺は言う。

「あの娘…ひどくお前を憎んでいたな…蘭花、あの娘は何者だ?」

「……」

蘭花は口を噤む。

「あれ程の確執があるのだ。お前とて知らぬ訳ではあるまい」

「……」

蘭花は小さく溜息をついた後。

「そうですね…時貞様にはお話しするべきなのかもしれません」

穏やかな、しかし愁いを帯びた声で、彼女は呟いた。


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