人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
菊花が得意とするのは『死霊魔術(ネクロマンシー)』。

ゾンビ、スケルトンといった不死の魔物(アンデッド)を操る魔術。

魔道の世界でも『闇』属性寄りの魔術である。

これを操る者は魔道の世界でも鼻つまみ者とされ、大抵は悪党としてのレッテルを貼られる。

…天羽の家系に限らず、魔術を志す家系では、生まれてきた子供の魔術の適性を最初に調べる。

その子がどの属性を持っているのか。

どのような魔術を得意とするのか。

幼いうちに調べておき、その子の属性に合わせて長所を伸ばしてやるのが一般的であった。

…蘭花は『創造』、桜花は『水』の属性。

それぞれ今もその属性を生かして魔道の世界で活躍している。

だが、菊花。

彼女は『闇』属性を持っていた。

闇は魔道の世界でもあまり好まれない。

闇は邪法。

闇は禁断。

そのような言い伝えから、好んで闇属性の魔術を学ぶ者はいなかったからだ。

それでも生まれ持った属性。

菊花はその素養を生かし、次々と闇系統の魔術を身につけていった。

特に腕を上げたのが死霊魔術。

15になる頃には、大抵のアンデッドを支配下に置けるようになっていた。





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