人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
しかし。

闇を操る高い才能を持っていた菊花を、案ずる者がいた。

長女の蘭花だ。

彼女は妹の菊花を可愛がっていた。

だからこそ、闇属性の魔術など覚えてほしくはなかった。

闇はいずれ術者をも滅ぼす禁断の術。

このまま死霊魔術を続けていれば、菊花は闇に呑まれてしまうやも知れぬ。

菊花に対して危機感を持っていた蘭花は、ある日菊花に、死霊魔術をやめるように言う。

…菊花は反発した。

己の最も得意とする魔術。

己の才能を最も生かせる魔術。

死者達とはいえ、彼らは菊花に心から敬意を払い、自らの主として彼女を認めてくれている。

多くの人々から忌み嫌われる亡者とて、死霊魔術を操る菊花にとってはかけがえのない友であった。

…姉はそれを捨てろと言う。

理由を問えば、「闇は身を滅ぼす」というよくわからない理屈。

納得がいかなかった。

理解が出来なかった。

故に姉に反発する。

それに対し、姉…蘭花は力づくで菊花から死霊魔術を奪おうとした。

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