人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
「これが大体の経緯です」

「……」

器に注がれた紅茶は冷めてしまっていた。

自らの目の前に置かれたその紅茶を見つめながら、蘭花は静かに言う。

…愛する妹を心配するが故に起きた確執。

菊花は蘭花の本心を理解できぬまま、蘭花の命を狙う。

…俺は蘭花の淹れてくれた番茶を飲み干した。

「それで蘭花…お主は俺に菊花を斬らせるつもりか」

「……」

俺の言葉に、蘭花は苦しげな表情を見せた。

答えは聞かずともわかっている。

大切な愛する妹だ。

誰が斬られる事を望んでいよう。

「ならば質問を変えよう」

俺は蘭花の顔を見る。

「お主は今も、菊花に死霊魔術をやめさせたいと思っているのか」


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