人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
朝食を終えた後、俺は蘭花と今後の方針について話し合う。

「このまま菊花の出方を窺い、待つつもりなのか?」

「…はい」

応接間で昨日のように茶を飲みながら、蘭花は静かに頷く。

…彼女のこの考え方を見てもわかる。

蘭花は菊花の生き方…死霊魔術の選択を認める気はないものの、その命までも奪う気はないらしい。

対する菊花は、姉の命を奪ってまでも、己の進む道を譲る気はない。

決して志を曲げるつもりはない菊花の信念の強さは認めるべきところもある。

だが、それ故に姉妹で殺し合いをするなどと…。

どう考えても不憫でならぬ。

ならぬものの、俺は雇われの身だ。

蘭花がこちらから攻めぬと言うのならば、俺はただ座して待つしかない。

「あいわかった」

俺は静かに呟く。

「それまでは俺は待機させていただこう」

「よろしく…お願い致します」

蘭花は深々と頭を下げた。

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