人形師と武士(もののふ)～魔女の瞳番外編～

やがて日が傾き、森に夜の帳が訪れる。

ただでさえ静かだった森に、鳥肌すら立つほどの静けさがやってきた。

…魔女の棲家に訪れる闇の世界。

それは魔道の姉妹の、殺し合いの狼煙だったのか。

「！」

俺は目を見張った。

いつの間にか。

木々の間からノロノロと歩み寄る影。

朽ち果てた体を揺らめかせながら、死者の群れが歩み寄ってくる。

「きたか」

俺は行動を開始した。

「蘭花、結界は使えるか｣

「結界は無理ですが…この館に保管してある人型五十体を同時に操って兵の代わりにする事くらいならば｣

成程、人形師は同時に『人形使い』でもある訳か。

「上等だ。攻め込む必要はない。その人型で篭城に専念しろ。己の身を守る事だけ考えればいい｣

俺は応接間を駆け出していった。

「俺は迎え撃つ！｣