人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
だが。

目覚めると、俺はどことも知れぬ洋館の一室の寝台に寝かされていた。

「……」

ゆっくりと起き上がる。

数百年ぶりの感覚だ。

それもその筈。

死して朽ち果て、霊体となった筈の俺に、肉体があったのだ。

死する前の、寸分違わぬ肉体…。

「お目覚めですか?」

突然。

部屋に一人の女性が入ってきた。

女性というよりは娘。

年の頃二十歳かそこらだろうか。

「……」

素性の知れぬ相手をすんなり受け入れるには、俺は多くの人間を斬り過ぎていた。

鋭い眼光を娘に射掛ける。

「…申し遅れました」

娘は俺の視線に気づいたのか、自己紹介を始める。

「私はデッドゲイト家の分家である、天羽家の長女、蘭花(らんか)といいます」



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