人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
「そう…もういいわ」

菊花は俺を睨んだ。

「構わないわゴーレム。彼ごと蘭花を葬りなさい。徹底的に肉体をすり潰してやるのよ?」

その言葉に頷く代わりに、ゴーレムは前進を始めた。

…迫ってくる屍の巨体。

その圧倒的な迫力は、見る者に絶望を与え、己の死期を悟らせる。

「時貞様!」

蘭花が叫ぶ。

「もういい!もういいです時貞様!逃げて下さい!」

これ以上は無理だと。

如何に俺とてあの化け物は倒せぬと。

蘭花はそう思っているようだった。

…心外な話だ。

「俺ごと蘭花を葬るだと?」

俺はゴーレムを見上げた。

「笑止!!!!」


< 44 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop