人形師と武士(もののふ)~魔女の瞳番外編~
蘭花はそばにあった木製の椅子に腰掛ける。

「まず…時貞様は私に、魔女か?と問われましたね…半分正解です。私は、魔道の世界で『人形師』をやっています」

人形師。

勿論、幼子が遊戯に使う玩具を作る職人の事ではない。

魔道の世界で言う人形師とは、人間の肉体に限りなく近い人型を作る者の事。

何らかの理由で肉体を失った者、体の一部を失った者。

そういう者達に対して、義手や義足、或いは肉体そのものを作り与える。

それが魔道の世界における人形師だ。

高い技量を持つ人形師の作る人型は、それこそ人間の肉体と見紛うほどであり、魂が入っていないだけの人間だと称されるほど精巧な人型も存在する。

そして、魔道の世界で天羽蘭花の作る人型は、超一流の人形師の逸品として高値で取引されているのだそうだ。

「まさか…俺のこの肉体は」

「お察しの通りです」

蘭花は頷いた。

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