今度会ったら何をしようか
昼食を終えた私は、中庭に向かう。目的は端に設置された小さな喫煙所。ここは大体、教授達が使っていて、あまり学生は寄り付かない。
スーパースリムの煙草を口に咥え大きく吸い込むと、肺に溜まっていく煙。それを細く長く吐き出すと、口の中に苦味が広がる。なんとなく、先程の彼女達が頭にこびりつき、そのモヤモヤを忘れるようにもう一口、口を付ける。その時
「大倉さん」
後ろから声が聞こえ、思わず振り返ると朝比奈教授だった。
「教授、くわえタバコは駄目ですよ」
苦言を呈しながら私は笑顔で答える。
「大倉さん、煙草吸うんですね。意外だな」
朝比奈教授は私の言葉をかき消すように、へらへらと笑う。
「よく言われます」
「嫌味じゃないよ」
教授も紫煙を吐き出すと、そういえば・・・と言って口を開く。
「夏休みの実習なんだけど、大倉さんどうするの」
「介護施設はボランティアで行っているので、障害者施設にしようと思って」
「ああ、そうだったね。支援の違いも知りたいよね」
ええ、と答え灰皿に煙草を押し付ける。
「来週までに実習計画を提出してくれるかな。実習生の受け入れしている施設探しておくよ」
教授も煙草の火を消すと、ぐっと親指を立てた。五十歳を超えている教授だが、妙に若々しく見える。突き出された親指に少々の申し訳なさを感じつつも、私は恐る恐る口を開く。
「あの・・・行ってみたい施設があるんですけど、駄目ですか」
教授は一瞬拍子抜けした顔を浮かばせたが、またいつもの調子で頷く。
「どこにしたいのかな」
「さくら園、なんですけど」
「さくら園ね。電話して聞いてみるよ」
お願いします、と言って私は昔の記憶をたどる。
スーパースリムの煙草を口に咥え大きく吸い込むと、肺に溜まっていく煙。それを細く長く吐き出すと、口の中に苦味が広がる。なんとなく、先程の彼女達が頭にこびりつき、そのモヤモヤを忘れるようにもう一口、口を付ける。その時
「大倉さん」
後ろから声が聞こえ、思わず振り返ると朝比奈教授だった。
「教授、くわえタバコは駄目ですよ」
苦言を呈しながら私は笑顔で答える。
「大倉さん、煙草吸うんですね。意外だな」
朝比奈教授は私の言葉をかき消すように、へらへらと笑う。
「よく言われます」
「嫌味じゃないよ」
教授も紫煙を吐き出すと、そういえば・・・と言って口を開く。
「夏休みの実習なんだけど、大倉さんどうするの」
「介護施設はボランティアで行っているので、障害者施設にしようと思って」
「ああ、そうだったね。支援の違いも知りたいよね」
ええ、と答え灰皿に煙草を押し付ける。
「来週までに実習計画を提出してくれるかな。実習生の受け入れしている施設探しておくよ」
教授も煙草の火を消すと、ぐっと親指を立てた。五十歳を超えている教授だが、妙に若々しく見える。突き出された親指に少々の申し訳なさを感じつつも、私は恐る恐る口を開く。
「あの・・・行ってみたい施設があるんですけど、駄目ですか」
教授は一瞬拍子抜けした顔を浮かばせたが、またいつもの調子で頷く。
「どこにしたいのかな」
「さくら園、なんですけど」
「さくら園ね。電話して聞いてみるよ」
お願いします、と言って私は昔の記憶をたどる。