今度会ったら何をしようか
彼女を促し、別室に移動をする。
「ミサンガ班の方は、コミュニケーションを通わすのが難しいんだけど、あまり気落ちしなくていいからね」
僕がそう言うと
「はい。でも、いつか打ち解けられたらいいなって思いました」
彼女は気落ちしている様子もなく、明るく答える。
「次のお菓子作り班は僕の担当でもあるんだ」
「さくらクッキーですか」
「うん、よく知ってるね」
そこまで僕が言った時、以前買い物に来ていた大倉さんの事を思い出す。
「大倉さん、もしかしてこの前クッキー買いに来てくれたでしょう」
彼女は一瞬表情を変え、照れくさそうに俯く。
「そうなんです。たまたま入ったスーパーにさくら園が来ていたので驚きました」
「あそこは昔から場所を貸してくれてね」
とっても助かるんだ、と言いかけた時、また疑問が生まれた。たまたま入ったスーパーと言っていたが、彼女はクッキーだけを買ってスーパーには入らなかったはずだ。それとも、僕がぼんやりしていたから気が付かなかっただけで、何か買い物をしてから寄ったのだろうか。それにしても、わざわざU市から来なくてもいいはずなのに。
一また、よろしくお願いします一
あの言葉の意味は…
「穂波さん」
どうかしましたか、と大倉さんが顔を覗き込み僕はハッとする。
「ごめんね、ちょっと考え事」
僕は腕をまくり、なんでもないよと笑って誤魔化した。すると
「穂波さん、その腕...」
大倉さんが突然立ち止まり、僕の腕を指さす。
「あっ」
忘れていた傷が顔を出す。生々しい傷跡に、彼女は見てはいけなかったという感じで黙りこくる。
「いや、なんでもないよ」
僕はシャツをおろし、笑ってみせる。
「ごめんなさい」
どうしたらいいか分からなそうに呟く彼女に、僕は言葉を続ける。
「この前、猫に引っかかれたんだ」
咄嗟に出た嘘に、われながら下手な誤魔化しだと思う。
「急に爪を出すから、びっくりしちゃって。大倉さんは犬と猫どっちが好き?」
これ以上、詮索されてもまずいと思い、僕は話をそらしてみる。彼女はそんな僕に気付いたのかは分からないが、
「猫です。でも引っ掻く猫は嫌いです」
と答え、それからは何も聞いてはこなかった。
「ミサンガ班の方は、コミュニケーションを通わすのが難しいんだけど、あまり気落ちしなくていいからね」
僕がそう言うと
「はい。でも、いつか打ち解けられたらいいなって思いました」
彼女は気落ちしている様子もなく、明るく答える。
「次のお菓子作り班は僕の担当でもあるんだ」
「さくらクッキーですか」
「うん、よく知ってるね」
そこまで僕が言った時、以前買い物に来ていた大倉さんの事を思い出す。
「大倉さん、もしかしてこの前クッキー買いに来てくれたでしょう」
彼女は一瞬表情を変え、照れくさそうに俯く。
「そうなんです。たまたま入ったスーパーにさくら園が来ていたので驚きました」
「あそこは昔から場所を貸してくれてね」
とっても助かるんだ、と言いかけた時、また疑問が生まれた。たまたま入ったスーパーと言っていたが、彼女はクッキーだけを買ってスーパーには入らなかったはずだ。それとも、僕がぼんやりしていたから気が付かなかっただけで、何か買い物をしてから寄ったのだろうか。それにしても、わざわざU市から来なくてもいいはずなのに。
一また、よろしくお願いします一
あの言葉の意味は…
「穂波さん」
どうかしましたか、と大倉さんが顔を覗き込み僕はハッとする。
「ごめんね、ちょっと考え事」
僕は腕をまくり、なんでもないよと笑って誤魔化した。すると
「穂波さん、その腕...」
大倉さんが突然立ち止まり、僕の腕を指さす。
「あっ」
忘れていた傷が顔を出す。生々しい傷跡に、彼女は見てはいけなかったという感じで黙りこくる。
「いや、なんでもないよ」
僕はシャツをおろし、笑ってみせる。
「ごめんなさい」
どうしたらいいか分からなそうに呟く彼女に、僕は言葉を続ける。
「この前、猫に引っかかれたんだ」
咄嗟に出た嘘に、われながら下手な誤魔化しだと思う。
「急に爪を出すから、びっくりしちゃって。大倉さんは犬と猫どっちが好き?」
これ以上、詮索されてもまずいと思い、僕は話をそらしてみる。彼女はそんな僕に気付いたのかは分からないが、
「猫です。でも引っ掻く猫は嫌いです」
と答え、それからは何も聞いてはこなかった。