今度会ったら何をしようか
遊園地から帰り、元気のない私を見た父が問い詰める。何もないよと答えたが、一人で抱えるには大きすぎるぐちゃぐちゃとした感情に負け、正直に話す。父はさっと顔色が変わり、聞きたくもないような汚い言葉を私にぶつけた。大人の事情はよく分からないが、もう母は帰ってこないことと、母は私の母ではなく、あの子の母になっている事を理解する。私はただ泣くしかなかった。そんな私に父は
「俺の方が泣きたいんだよ」
と呟き、その日を境に父は少しずつ壊れていった。お酒の力を借りるようになったのだ。元々、お酒に弱い父だった。ほろ酔い気分の日が続き、その時は上機嫌だった事もあって、私はそれほど心配をしていなかった。だが、私が高校に入学するとお酒の量は途端に増え始めた。アルバイトを終え、私が帰宅すると家中が散乱をしていて、初めは空き巣か何か入ったのかと焦るほどだった。だが、鼻につくアルコールの臭いと、寝室からの父のいびきが聞こえ、そうではなかったと気が付く。空になったビール缶が何本も転がり、焼酎の箱は蓋も閉めらずに置いてある。
「お父さん、お水飲む?」
寝ている父に近付くと、アルコールの臭いがいっそう感じられ、顔をしかめる。何度か父を揺さぶり起こす。父はゆっくり体を起こし、寝ぼけているようだった。お水の入ったコップを渡すと、父は一気に飲み干し、まだぼんやりと周りを見渡す。
「そんなに飲んじゃ体に悪いよ」
私が少しため息をつくと、父は途端に顔つきを変え、持っていたコップを私に投げ付けた。額に鈍い痛みが走り、咄嗟の出来事にわけがわからず、ただ額に手を当てる事しかできない。
「俺に指図するのか」
突然の父の怒りに身を縮ませた私に
「どうせ俺から逃げたくて仕方ないんだろ」
そう言って、父は私を平手打ちし、そのまま押し倒す。それからの事はあまり思い出したくない。すんでのところで、私は父を振り払い家を飛び出した。
気持ち悪さと、恐怖が入り交じった気持ちで私は声にならない声で泣き続け、一晩を友達の家で過ごした。
「俺の方が泣きたいんだよ」
と呟き、その日を境に父は少しずつ壊れていった。お酒の力を借りるようになったのだ。元々、お酒に弱い父だった。ほろ酔い気分の日が続き、その時は上機嫌だった事もあって、私はそれほど心配をしていなかった。だが、私が高校に入学するとお酒の量は途端に増え始めた。アルバイトを終え、私が帰宅すると家中が散乱をしていて、初めは空き巣か何か入ったのかと焦るほどだった。だが、鼻につくアルコールの臭いと、寝室からの父のいびきが聞こえ、そうではなかったと気が付く。空になったビール缶が何本も転がり、焼酎の箱は蓋も閉めらずに置いてある。
「お父さん、お水飲む?」
寝ている父に近付くと、アルコールの臭いがいっそう感じられ、顔をしかめる。何度か父を揺さぶり起こす。父はゆっくり体を起こし、寝ぼけているようだった。お水の入ったコップを渡すと、父は一気に飲み干し、まだぼんやりと周りを見渡す。
「そんなに飲んじゃ体に悪いよ」
私が少しため息をつくと、父は途端に顔つきを変え、持っていたコップを私に投げ付けた。額に鈍い痛みが走り、咄嗟の出来事にわけがわからず、ただ額に手を当てる事しかできない。
「俺に指図するのか」
突然の父の怒りに身を縮ませた私に
「どうせ俺から逃げたくて仕方ないんだろ」
そう言って、父は私を平手打ちし、そのまま押し倒す。それからの事はあまり思い出したくない。すんでのところで、私は父を振り払い家を飛び出した。
気持ち悪さと、恐怖が入り交じった気持ちで私は声にならない声で泣き続け、一晩を友達の家で過ごした。