今度会ったら何をしようか
父の声が耳にべったりと張り付いている気がして、なんだか気持ちが悪い。父は寂しい人なのだと分かっている。分かっているからこそ、私はジレンマを感じ、どこまで線引きをすればいいか悩み続ける。
大切な親なのに、どうしてこれほどまでにエネルギーを使う必要があるのだろう。そんな事を思えば思うほど鬱々とした感情が押し寄せて、いつか爆発してしまうのではないかと考える。どの家もこんな感じなのだろうか。私の悩みは一般的な悩みなのだろうか。穂波さんも、そんな事を思う時があるのだろうか。
ふいに穂波さんの顔が浮かび、私のどんよりとした心に太陽が差し込む。そう、あの人は太陽のような人。薄暗い部屋にキラキラと光を注いでくれる。それだけで、なんとなく気持ちが明るくなれる。男の人は苦手なのに、どうしてだろう。穂波さんなら大丈夫な気がして、不思議な気持ちになる。
「実習、楽しみだな」
そう呟き、私はシャワーを浴びにリビングを後にした。