今度会ったら何をしようか
気分爽快なたっくんと、心なしか疲れた顔をしていたスタッフを車に乗せて施設に戻ると、デスクに書類が置かれていた。付箋には「学校先から連絡がくるので対応」と書かれている。
「それ夏休みに来る実習生ね」
出張おかえり、と手を上げる園長が僕を見る。
「ああ、そっか。今度からは僕が実習担当者でした」
「そう、もう林君から引き継ぎ終わってるでしょう」
元々、林さんが実習生の受け入れや担当をしていたが、今は僕の役目だ。林さんは僕より早くこの施設で働いていたが、半年前に父親が倒れてしまい、長男の林さんが実家の理髪店を継ぐそうで「利用者の髪を切るならうちに連れてきていいからな」なんて言っていた。
「この前、A大の教授から実習生の受け入れ願いの電話が来てね。他の学校からはまだ電話来ていないから、受け入れる方向で話しておいたから」
「確かA大って、福祉科に力入れてる学校ですよね」
そういえばアイツもA大学に入学したんだっけ、と高校時代の知人の顔を思い浮かべる。
「今後、事前打ち合わせがあるはずだから、そこで実習内容は確認してくれるかな。その子、ボランティア経験あるみたいだから積極的な子だとは思うけど、本格的な実習は初めてだから、フォローよろしく頼むよ」
初めての実習担当。些か緊張してくる。
「ええ、頑張ります」
僕はそれだけ答えて、少しの不安を感じつつも職員室を出た。