今度会ったら何をしようか
私とあなたの出会い

一人で食べる食事はつまらない、なんて言う人がいる。その人が一人で食べている人を見たら、つまらない人間に映るのだろうか。講義室の窓側は、きらきらとした日差しが差し込んで、とても暖かそうだ。三人組の女の子がそこで食事をしている。流行りのキャラクターに包まれたお弁当箱を広げながらお喋りに夢中だ。
「今度、新入生歓迎会するらしいよ」
「お花見も兼ねてでしょう」
「先輩いるなら絶対行くでしょ」
私は彼女らのお喋りを聞きながら、おにぎりをかじる。今朝は寝坊したから、購買で買ってきたおにぎりが今日の昼食。それだけじゃ寂しいから、ミニサラダと豆乳もセット。
「うちらの同級にイケメンいるの知ってる?」
「つーか私と同じゼミだし」
「マジか。ヤバい」
きゃっきゃと声を上げる彼女達を横目に、サラダの蓋を外す。ドレッシングは別売りです、と書かれたシールにがっかりしながら、味気のないレタスを口に運ぶ。
「なんかトイレ行きたい」
「私も行く」
「私も」
ぞろぞろと廊下に出ていく彼女達を見ながら、もうこの講義室も終わりだなぁと思う。やっと一人で静かになれる場所が見つかったのに、ここはもう私がいてはいけない場所だ。彼女達は明日もここに集まって、楽しく食事をとるだろう。鞄からイヤホンを取り出し、私は私の世界に閉じ篭る。音楽が流れ始めると、周りの雑音が気にならない。トイレから戻ってきた三人組が、私を「つまらない人だね」と言っていたとしても、それはもうどうでもいいのだ。
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