キミに嘘を吐く日
「おはよう……と、どうしたのその顔?」
見送りに来てくれた宇野くんの左頬が真っ赤に腫れている。
驚いて声をかけた私に、宇野くんの隣にいた川原くんが呆れたような声で言った。
「制裁を食らったんだよな、西条から」
「おいっ、わざわざ言うことないだろ」
宇野くんの制止も聞かず、川原くんの舌はかなり滑らかだ。
「100%宇野が悪いから。片方の頬だけで済んで良かったと思えよ」
川原くんの話の意味がさっぱり分からない。
そういえば、西条さんは来てないのかな?
「今日は、西条さんは?」
言いにくそうな宇野くんの代わりに川原くんが答えてくれる。
「見送りにいけないけどゴメンって伝言預かってる」
「そうなんだ……」
せっかく知り合えたのに、昨日だけでお別れなんて寂しいけど仕方ないよね。
「宇野くん、西条さんと仲良くね……って、私が言うのもおかしいか。へへっ」
余計なお世話だよね。
「そのことなんだけど、いろはちょっと話せる?」
「ん?えっと、森さん達に出発の時間を確認してくるから、少し待ってて」
そのことって、どのことなんだろう?
宇野くんの話が想像もできなくて、とりあえず森さんと茶原さんに時間を確認して15分は大丈夫だということで宇野くんのところに戻った。