キミに嘘を吐く日
three color


「御門、次これ読んでみ?」

「これ?」


宇野くんに渡された本をペラペラと捲って、斜め読みしてみた。

書かれてある文字の大きさだとか、書かれてある文章だとか、台詞だとか、そういったものを見ているとなんとなく惹かれる時がある。

そう言う本に出会うことができると、とても得をした気分になる。

宇野くんから勧められた本は、なんとなく私好みで、読んでみようと思わせるものだった。


「御門、そういうの好きそう」

「……うん。多分好き」


素直に認めたのは、彼にこうして勧められた本が今日で片手は埋まり、そのどれも好みにあったものだったからだ。

外れたことがなかったから、そのうち彼が選んでくれる本を、待ち遠しく思っている自分がいた。

図書館で2度目に会ってから、今日で6日目。

毎日図書館に通うようになって、そうするといつもの席に宇野くんはいて、本を読んだり、うたた寝したりと、そこにいるのが当たり前のようになっていた。

私も敢えて違う席に座る事をやめた。

私だけが気にしているのもおかしい話だと思って。

私は本を読みたいから、図書館に来ている。

そして宇野くんも、本を読むか、昼寝をするのにちょうどいいから図書館に来ている。

そんな風に思う事で少し気が楽になれる気がした。

そンな日々の中で、彼は急にふいっと席からいなくなったと思ったら、本を一冊手に戻って来て「読んでみたら?」と勧めてくるようになったのだ。


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