キミに嘘を吐く日
翌日は終業式だった。

久しぶりに袖を通した制服はなんだかよそゆきみたいに落ち着かない。

でも、初めてだ。

学校に行く事を楽しみだと思えるのは。

いつもより念入りに髪をといて、花粉症のせいで荒れ気味な肌にたっぷりの化粧水をつけて無色のリップを塗る。

今まで登校前にこんな風に外見を気にしたことなんてない。

野暮ったい自分が頑張ってる姿に居たたまれなくなって、唇を手の甲で拭った。

どうせ外に出る時は、花粉症対策グッズを身につけて出かけなきゃならないし、その姿は結構ダサい。

昨日までは気にならなかった自分のカッコをここまで気にする自分はなんて滑稽なんだろう?

だけど、自分でも滑稽だとは思うけど、それでもほんの少し位宇野くんにはましな自分を見せたい。

そう思ってしまう。

今までなんとも思っていなかったクラスメイトをここまで気にしているのは何故なのか?

答えは出そうで出なかった。

出すべきではないとも思った。

ただ、宇野くんと今のまま少し近い距離で過ごせたら、それだけで満足だから。



< 28 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop