キミに嘘を吐く日
あ、そうだよ。先生なら知ってるんじゃないの?

そう思ったらいてもたってもいられなくて、職員室へ向かった。

1年の時に担任だった吉田先生を呼んだのだけれど、出てこられたのは別の先生だった。


「え?退職?」

「そう。春休み中に、ご家族のことで急に退職されたのよ。宇野くんは確かお家の事情で祖父の家に行かれたんじゃなかったかしら?詳しくは担任だった吉田先生がご存知だったんだろうけど、さっき話たことで退職されたし。調べれば分かると思うけど……急ぎかしら?」

近く入学式も控えているから先生方も忙しいらしく、私の話もゆっくり聞いていられないった感じだった。

こうなったら、やっぱり高田くんにしか頼れない。彼の誤解を解いて、機嫌をなおしてもらわないと。

でも分かったことも少しはある。

どうやら宇野くんは、おじいさんの家にいるらしいということ。

おじいさんというのは、きっと水族館で話していた人の事だ。

おじいさんの家で、一緒に住むことになったんだろうか?

高校を辞めなくてはいけないほど遠い場所にいるんだろうか?

前に高田くんが話していた家の事情というやつなんだろうか?

会いたい想いは募る一方だ。

それなのに居処すら分からないなんて。

教室に戻ると既に高田くんは帰ってしまった後らしく、私も仕方なく帰ることににした。


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