キミに嘘を吐く日
結局高田くんには折を見て市原さんが聞いてくれることになった。

焦っても仕方ない。

市原さんに甘えるのは申し訳ない気がするけれど、それが市川さんにとってもイイコトに繋がるのなら、ここは素直に甘えてもいいのかもしれない。

今の私は、私が出来ることをしよう。

宇野くんに人と関わることの素晴らしさを教えてもらった。

市原さん達が切っ掛けをくれた。

私だって頑張ろう。市原さんが高田くんと話をしてくれて、私と話してくれる気になった時、宇野くんの場所が分かって彼に会いに行ける時、成長していない自分では恥ずかしくて顔を合わせられないから。

宇野くんに……好きな人に胸を張って会える自分になりたい。

高校生として勉強をちゃんとして、ボランティアも続けて、クラスメイトとの関係もちゃんと築く。

私、ちゃんと頑張らなきゃ。

少し前の自分とは違う、前向きな気持ちが自然と湧いてきた。

好きな人のことを考えて、こんな風に動けるってことを知って、それが全然苦痛じゃない。

寧ろ、頑張ろうって思える自分に驚いていた。

宇野くんがどうして私に何も告げずにいなくなったのか分からない。

あの告白も、もしかしたらあの場限りのものだったのかもしれない。

それでも、私は、私の気持ちに正直でいたい。

宇野くんのことを好きだと思ったことは嘘じゃないから。


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