キミに嘘を吐く日
週末の土曜日は図書館でボランティアの日だった。

今日は以前から予定されていた、絵本の読み聞かせがある日だ。

読み聞かせが始まる10分前には、随分人が集まってきていた。


「緊張せずに、楽にやってみて」


そう背中を押してくれたのは館長だった。

今日の読み聞かせは、私が絵本を読むことになっていたから。

人に、子供達に絵本を読むことは、初めてだったけど職員さんやボランティアの人達が実際にやるのを見ていたから、どんな風に読めばいいかはなんとなく分かっていた。

だから、館長から提案してもらった時、「やります」自ら手を挙げたのだ。

本当は、この場所に宇野くんにもいて欲しかった。

宇野くんが私にこの場所を与えてくれたから、だから彼には傍にいて見守っていて欲しかった。

でも、大丈夫。

今日は宇野くんとお揃いのストラップもあるし、一緒に撮った写真もポケットに入れている。

離れていても、彼は私といてくれている。

そう思ったら、自然とやる気が出てきた。


「じゃあ、いろはちゃんそろそろ準備してもらっていい？」


茶原さんに促されて皆んなで深くお辞儀をしてから、置かれてある椅子に腰掛けた。





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