キミに嘘を吐く日
水族館までは森さんが車を出してくれることになって、ホテルのロビーで宇野くん達と待ち合わせること担っていた。

支度を済ませてロビーに降りると、待ち合わせの15分前だというのに、既に宇野くんも昨日見かけた綺麗な彼女も来ていた。

私達がロビーに降りてくると宇野くんが駆け寄ってくる。


「おはよう」

「おはよう」


無邪気な笑顔の宇野くんに、それぞれが複雑な思いを抱えてそれに答える。


「茶原さん、森さんお久しぶりです。今日はあえて嬉しい」

「久しぶりだね。少し痩せた?」


森さんがそう尋ねると宇野くんは「そんなことないですよ」とヘラっと笑う。


「あ、みんなに紹介します」


そう言って宇野くんは後ろにいた男女を皆の前に促した。


「クラスメイトの川原 友也(かわはらともや)と西条 彩波(さいじょういろは)」


え?

彼女の名前を聞いて言葉を失った。


「初めまして。宇野とは同じ名前を切っ掛けに親しくなったんです」


ショートカットが似合う綺麗な顔立ちの西条さんが、一歩前に出て丁寧にお辞儀をした。

それに答える形で私たちも慌てて頭を下げる。


「いろはって名前、案外珍しくないのかな?」

「え?」


市原さんの言葉に西条さんが不思議そうに首を傾げた。


「この子もいろはって言うの。御門 いろは」


市原さんが私の腕を引いて彼女の前に引っ張り出した。


「そうなんだ!すごい偶然だね」


無邪気な様子で西条さんは私の手をとり、よろしくねと笑顔で言ってくれる。

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