キミに嘘を吐く日
水族館の深海生物のコーナーに入っていった宇野くんの後をついて歩いた。
あたりは薄暗さが増して、宇野くんは壁にもたれるようにして大きく息を吐いた。
「なんで親父もお袋も、平気でお互いを傷つけるんだ。お互いに想いあって結婚して、俺が生まれたんじゃねーのかよ……あんな、お互いを傷つけあって別れて……俺を簡単に捨てた。人の想いなんて、いろはが思うほど一途でもキレイでもねーよ。いろはだって、いつか俺のことを忘れる。忘れて、他のやつを好きになって、俺がいたってことも忘れちまうんだ……」
館内に流れるアナウンスや、賑わう客の中で、宇野くんの声はとても小さく掠れていた。
その言葉のどれも取り零したくなくて、彼のそばで彼の声を聞いていた。
ズルズルと背中を滑らせしゃがみこんだ宇野くんは膝を抱えるようにして踞ってしまう。
まるで小さな子供みたいに肩を震わせる宇野くんを見ていたら、とても愛おしく感じた。
宇野くんはずっと怖かったんだ。
両親が離婚して、どちらと暮らすこともできずに祖父母の家に預けられて。
無償の愛情を与えられる存在から突き放されてしまったことで、人に対する愛情を信じられなくなってしまったんだろうか?
「宇野くん、私は今でも宇野くんが好きだよ?私にとっては宇野くんとの時間はとてもかけがえのないもので、とても大切なものだったよ?宇野くんにとっては私とのことは嘘で終わってしまうものだったとしても、私には嘘なんてひとつもなかった……」
言葉を紡ぐ最中、私は宇野くんに引き寄せられて彼の胸の中に抱きすくめられた。
驚きのあまり、声がでない。
あたりは薄暗さが増して、宇野くんは壁にもたれるようにして大きく息を吐いた。
「なんで親父もお袋も、平気でお互いを傷つけるんだ。お互いに想いあって結婚して、俺が生まれたんじゃねーのかよ……あんな、お互いを傷つけあって別れて……俺を簡単に捨てた。人の想いなんて、いろはが思うほど一途でもキレイでもねーよ。いろはだって、いつか俺のことを忘れる。忘れて、他のやつを好きになって、俺がいたってことも忘れちまうんだ……」
館内に流れるアナウンスや、賑わう客の中で、宇野くんの声はとても小さく掠れていた。
その言葉のどれも取り零したくなくて、彼のそばで彼の声を聞いていた。
ズルズルと背中を滑らせしゃがみこんだ宇野くんは膝を抱えるようにして踞ってしまう。
まるで小さな子供みたいに肩を震わせる宇野くんを見ていたら、とても愛おしく感じた。
宇野くんはずっと怖かったんだ。
両親が離婚して、どちらと暮らすこともできずに祖父母の家に預けられて。
無償の愛情を与えられる存在から突き放されてしまったことで、人に対する愛情を信じられなくなってしまったんだろうか?
「宇野くん、私は今でも宇野くんが好きだよ?私にとっては宇野くんとの時間はとてもかけがえのないもので、とても大切なものだったよ?宇野くんにとっては私とのことは嘘で終わってしまうものだったとしても、私には嘘なんてひとつもなかった……」
言葉を紡ぐ最中、私は宇野くんに引き寄せられて彼の胸の中に抱きすくめられた。
驚きのあまり、声がでない。