キミに嘘を吐く日
nine color
◇
「宇野まで花粉症発症とか有りかよ」
待ち合わせ場所で待っていた皆んなに、私は泣き腫らした宇野くんの顔の状態をなんとかフォローしたくて……咄嗟に出た言葉が、「どうやら、宇野くんも花粉症だったみたい」という、なんのフォローにもなっていない言葉だった。
「まぁ、あれって急に発症するらしいしね」
茶原さんが話す言葉にみんながなんとなく納得してくれた。
「宇野、平気?」
西条さんが宇野くんの隣に来て、彼を気遣うのを見ながら、私は2人から少し距離をとった。
「じゃあ、みんな車に乗って。お腹ペコペコだし、早く食べに行こう」
森さんがみんなを車へ誘導していく。
私も市原さん達と一緒に車へ向かった。
バイキングで思い思いの料理に手を伸ばす中、宇野くんはあまり食べる様子がなくて気にはなったものの、隣には西条さんがいて、私が出しゃばる必要もなかった。
水族館での宇野くんのことを思い出すと、胸が切なく軋む。
両親の離婚や、どちらの親とも一緒に過ごせなくなってしまったことは、彼に大きな傷を与えていた。
周囲に見せず、1人寂しさに耐えていたのだと思ったら、どうして気づいてあげられなかったのかと後悔しかない。
だけど、今の彼には祖父母や西条さんや川原くん達がいる。
彼のことを理解しようとしてくれる誰かがいてくれる。
だから、きっと大丈夫だね。
「宇野まで花粉症発症とか有りかよ」
待ち合わせ場所で待っていた皆んなに、私は泣き腫らした宇野くんの顔の状態をなんとかフォローしたくて……咄嗟に出た言葉が、「どうやら、宇野くんも花粉症だったみたい」という、なんのフォローにもなっていない言葉だった。
「まぁ、あれって急に発症するらしいしね」
茶原さんが話す言葉にみんながなんとなく納得してくれた。
「宇野、平気?」
西条さんが宇野くんの隣に来て、彼を気遣うのを見ながら、私は2人から少し距離をとった。
「じゃあ、みんな車に乗って。お腹ペコペコだし、早く食べに行こう」
森さんがみんなを車へ誘導していく。
私も市原さん達と一緒に車へ向かった。
バイキングで思い思いの料理に手を伸ばす中、宇野くんはあまり食べる様子がなくて気にはなったものの、隣には西条さんがいて、私が出しゃばる必要もなかった。
水族館での宇野くんのことを思い出すと、胸が切なく軋む。
両親の離婚や、どちらの親とも一緒に過ごせなくなってしまったことは、彼に大きな傷を与えていた。
周囲に見せず、1人寂しさに耐えていたのだと思ったら、どうして気づいてあげられなかったのかと後悔しかない。
だけど、今の彼には祖父母や西条さんや川原くん達がいる。
彼のことを理解しようとしてくれる誰かがいてくれる。
だから、きっと大丈夫だね。