ひとりぼっち
『…ねえねえ、加奈知らない?』

「加奈ぁ?会っていきなり他の子の名前?あたしの名前呼んでよ~」


少女は悲しそうな顔をした。

しかし椿沙は動じるどころか表情ひとつ変えない。


『あんたの名前なんか知らない。加奈はどこ?』

「相変わらずひっどいなぁ…椿沙チャンは…」

『…どこなのよ、愛歌』


少女の表情が一瞬にして輝き出した。


愛歌――


性格にも顔にも似合わない可愛らしい名前、椿沙はずっとそう思っていた。

椿沙が愛歌を嫌うのには理由がある。
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