変わる想いを貴方に捧げる

···そっと


晶にお願いした時間に
鈴音は病院に来ていた。

心臓が飛び出るかと思えるほど
ドキドキしていた。

すると・・
車椅子に乗った人が
晶に押されてやってきた。

鈴音は、深い深呼吸をして
車椅子に向かって
歩き出した。

手前で晶が
「こんにちは」
と、言ったので鈴音も
「‥‥こんに‥‥ちは」
と、言った。

だが、和真は鈴音にも
鈴音の言葉に反応することはなかった。

鈴音は、涙を流しながら
その場を離れた。

もしかしたら・・・
という
思いがなかったわけではない
だけど・・・
それは無惨にも崩れた。

鈴音の後ろ姿を見て
晶はたまらない気持ちだった。
「どうした、晶。病室に戻るぞ。」
「‥‥はい。」

蒼真は、病室に戻ってきた晶の顔を見て
ダメだったのがわかった。

それから二人は仕事を始めたので
晶は、病院をでた。

晶は、その日鈴音に
かける言葉がみつからず
そっとしておく事にした。
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