この恋からは絶対に逃げられない!?
大丈夫、きっと気付かれてない。
あれから8年も経ってるんだもの。
大丈夫
そう安心して作業に取り掛かる。まずは朝言われた資料を纏めないと。
渡された用紙1枚を読みながら数字をグラフにしていく。
長谷川さんはパソコンが苦手だ。
いくら仕事ができてもパソコンを使うことも多い。でも肝心のそれが出来ないのだ。
しかも「ぼく、アナログ人間だから」って。そのうえパソコンを上達しようという
気持ちもないのだ。だからこういう仕事は自然と私に下りてくる。
「よし、1ページ目終了っと」
次は、と捲りながら何か視線を感じる。
「きゃっ」
目の前にある顔に驚いて反射的に立ち上がる。
え、もしかしてずっと見てた?
「久しぶり、都子ちゃん」
久しぶり?
冗談じゃない、こんなに注目されてだまってはい、そうですね
なんて言えるわけないでしょう?
なので私は睨んで初恋相手にこう言ってやった。
「あなたの事はしりません」