この恋からは絶対に逃げられない!?
あなたの事は知りません
瞼をゆっくり開くと、アラームの音が大きな音で鳴り響いていた。
重たい体をゆっくり起こしアラームを止めた。
時計の時刻は午前6時30分。
毎朝起きる時刻はこの数年間変わらない。
辺りを見回しながら家を出るまでの時間を逆算して動き出した。
ベランダで洗濯物を干して、朝食とお弁当の用意。
テレビではお天気お姉さんが今日も全国的に晴れることを
笑顔で伝えている。
今日はベランダに干して正解だな。
化粧をして着替えて、ゴミを持って家を出る。
何も変わらない、いつも通りの日常。
ぎゅうぎゅうのすし詰め状態の電車を乗り継いで約40分。
株式会社ユニオン。
多くは日本全国にショッピングモールがある事で有名な会社だ。
私はそこの社員として働いている。
何の取り柄がなかった私がこんな大手企業に受かるなんて奇跡のようだと
お父さんは喜んでたっけ。
お客様のこと、企業のこと、他社とのつながりなど
こうして企業が成り立っているのか、と今でも勉強になっている。
「おはよう、都子」
オフィスへのエレベーターを待っているとぽんっと肩を叩かれた。