この恋からは絶対に逃げられない!?
わざとなのか、大きな声で周りの人たちに聞こえるように言う長谷川さん。
でも昨日何度も確認したはず。
震える手で投げられた資料と先日渡された資料を見比べる。
細かく見ているけれど、間違いなんて何処も見当たらなくて
顔を上げると長谷川さんに睨まれた。
「何?」
ここ間違いはないです、と正直に言うべきか。
でもそれでこれ以上長谷川さんの機嫌が悪くなるのは嫌だ。
「最後のページ、文章をこっちに変えておいてって言ったの覚えてないの?」
もう一枚出てきた紙が私に投げられた。
「渡した、よね?」
渡されてませんけど?
貰ってませんけど?
ここまで怒っているこの人にもう何を言っても無駄だ。
「すぐ、やらせていただきます」