この恋からは絶対に逃げられない!?
新しい人、のはずなのに、その姿は見たことのあるものだった。
すらりと高い身長。通った鼻筋。シャープな輪郭。
髪は漆黒。それをきれいにワックスで整えている。
以前言っていた事があったっけ。
ネクタイは青しか持ってないんだ
「結城理人です。東北支社から来ました。
本社は久しぶりなので分からない事多いと
思うので色々教えてください、宜しくお願い致します」
あれから8年も経ったのに変わらない、低い声。
漆黒の髪も。長身も。ムカつくくらい似合うスーツ姿も。
何もかも変わっていない。
ずっとずっと忘れたくて
忘れられなくて。
私の大嫌いな人が今、私の目の前にいる。
「と、いうわけだ。宜しく頼んだよ。席はもう分かってるね」
「はい」
「では10時からのミーティングに向けてみな用意してくれ」