ホワイトデーの約束

二人だけのホワイトデー

「今は一瞬でも離れたくない」と言ってくれた先輩に押し負けて、一旦私の自宅へ荷物を取りに帰り、その日は彼のマンションに泊まることになった。

一つベットの上で、しかも抱きしめられた状態では緊張で眠れないのではないかと思ったけれど、安心からか意外とあさっり寝てしまった。

翌朝、至近距離にある先輩の寝顔に思わず悲鳴をあげそうになったのは言うまでもない。
だけど隣に彼がいるのが嬉しくて、そっと彼の胸に顔をうずめる。


「そんなにくっつかれると、俺の理性が崩壊するぞ」
「わ！？起きてたんですかっ？」


勢いよく、顔を上げてアワアワと彼の顔を窺う。
すると微笑を浮かべた彼はさりげなくキスをして、「おはよう」と少しかすれた低い声でつぶやいた。


「お、おは、ようございます」


あまりにも早すぎる脈拍に、口から何かが出てしまそう。
私、朝からこんな感じで大丈夫かな。