ホワイトデーの約束
近くのカフェで朝食を食べながら、昨日のOB会でのことを話す。


「それで、ジロー先輩がですね――」
「楽しかったみたいだな」
「はい。次は瓜生先輩も参加できるといいですね。皆もっと話したかったと思います」


だけど先輩は何か納得がいかないように顔をしかめた。
もしかして、気に障ること言っちゃったかな。


「昨日思ったんだが、なぜアイツが"ジロー先輩"で俺が"瓜生先輩"なんだ」
「えっ」


予想もしていなかったこと言われて、目が泳いでしまう。


「あ、だって大学の頃から先輩は先輩ですし、今だって上司で先輩ですし、だから」


なんか自分で言ってて分からなくなってきた。


「俺は香奈の彼氏だろう、違うか?」


口元に笑みを浮かる彼は絶対に確信犯だ。
ジッと見つめてくるその視線から、逃げることなんてできそうない。


「あ、の・・・ま、こと・・・先輩」
「"先輩"は余計だが、まぁいいか」


真人先輩は少し満足げに微笑んで、私の頭をなでた。
今日、髪をアップにするんじゃなかった。
顔が赤くなっているのが、すぐにばれてしまう。
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