情熱的に愛して
「問題はここ。」

門馬は、写真をトントンと、叩いた。

私が持ち上げた写真には、グチャグチャになっている洋服があった。

「これは……」

「お客さんが手に取って見た後、適当に畳んでおくだろう?」

「うん。」

「要するに、そのままって事。」

私はもう一回だけ、写真を見た。

「……忙して、畳む時間がなかったとか。」

「こんなに、暇なのにか?


門馬は、次の写真を差し出した。

その中には、何人かの女の子が、洋服を持って店員さんを探している。

だが誰一人、店員さんは映っていない。

レジにも。

棚にも。

「なんだか、ここまで来ると、無人の洋服店みたいだね。」

私は思わず、笑ってしまった。
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