情熱的に愛して
振り返ると、リビングにいたはずの門馬が、寝室にいる。

「ちょっと、無断で入ってこないでよ。」

「言ったよ、何回も。集中しすぎて聞こえなかったのは、そっちね。」

そんな事まで、冷静に分析してくれちゃって。


「で?何で悩んでるの?」

「何でもないわよ。」

そう言って、私はハッとした。

「俺達のルール、その1。何でもない、じゃなくて話す。」

門馬は人差し指を立てて、ピシッと言い切る。

「あーあ。こんなんじゃあ、家で仕事するのは、無理だわ。」

「そもそも、仕事は家でする事じゃないね。」

だから、冷静にそういう事を、返さないでほしい。


「あのね。うちの会社って、オフィス向けの服って、少なくない?」

「それは、そうだろう。会社には遊ぶ服なんて、着てこないんだし。」
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