情熱的に愛して
次の日。

私はできた企画書を、門馬に持って行った。

「例の?」

「例の。」

企画書を見た門馬は、だんだん顔が綻んで、最後はうんうん頷いている。

「よし。これで、具体的な案を出そうか。」

「うん。」

打ち合わせは順調。

早速、新ブランドの具体的な構想だ。

私が自分の席に、戻った時だ。


「ねえ、夏海。門馬との打ち合わせ、もう終わったの?」

「うん。」

「なんか、早すぎない?」

「えっ?」

私は、パソコンの電源を入れたところで、固まった。

「そ、そうかな。」

「そうだよ。まるで、前もって打ち合わせしてたみたい。」

まさか前の日の夜に、同じ部屋で仕事の話をしていたなんて、言えないもんね。
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