情熱的に愛して
スッと答えられるところも、カッコいいと思った。

「彼氏は……いるんですよね。」

「それがいないの。市川さんと同じで、募集中。」

正直に、勿体ないなと思った。


「それって……元カレが、忘れられないとか……」

清水係長が、目をパチパチさせた。

「す、すみません。」

「ああ、いいの。そうかもしれないし。」

胸が、ズキッとした。


「年下でね。いつも冷静な人だったの。」

食べる手が、止まる。

「いつか情熱的に愛してくれるって思っていたけれど、私の幻想だったみたい。最後も冷静に別れを言われてしまったわ。」

「そう……ですか……」

「なんかごめんなさいね。こんな話をして。」

私は静かに、首を横に振った。
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