情熱的に愛して
夜になると、門馬の事が気になって気になって、仕方がなかった。

「市川、最近何か、悩んでいるだろ。」

ある日の夕食の時、門馬に図星をつかれた。

「……そう見える?」

「見える。まだ短い期間だけど、一緒に住んでいるんだ。分かるよ。」

一緒に住んでいるんだからって言葉に、ドキドキする。


「もっと、ビール飲んだら?そうしたら、気持ちも吐き出せるよ。」

門馬は、私の目の前に、ビール缶を置いてくれた。

「ううん。いい。」

私はそのビール缶を、門馬に返した。

「言えない事か?」

「今は、一人で悩みたいんだ。」


あなたの事で悩んでいるんですなんて、本人目の前にして、言える訳がない。
< 151 / 234 >

この作品をシェア

pagetop