情熱的に愛して
「あっ……いえ……大した用では……」

清水係長が、クスッと笑った。

「そうよね。ただ私と門馬君の関係が、気になっただけだものね。」

「えっ……」

鈴木係長は、尚もクスクス笑っている。

「前にね。私が、前の彼氏の事、話したでしょう?」

「……はい。」

「あれね。門馬君の事なの。」


知っていたとは言え、はっきり本人の口から聞くと、体が重くなる。


「久しぶりに会って、変わってなかったわ。彼。私が好きになった彼そのまま。」

何にも言葉が出て来ない。

「今も、一人みたいだから、もう一度……」

私は、お弁当の蓋を閉じた。

「……いるみたいですよ。」

「えっ?」

「……彼女。」
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