情熱的に愛して
すると清水係長も、お弁当に蓋をして、立ち上がった。

「と言う事は、私達ライバルね。」

係長は、スッと手を差し伸べた。

握手でもしようとしているんだろうか。

とても、そんな気にはならないのに。


「すみません。」

私は、素直に謝った。

「あら、私じゃあライバルにはなれない?」

「いえ、逆です。」

「逆?」

「私では、清水係長のライバルになれないと思います。」

清水係長は、茫然としていた。

「……失礼します。」

私はお弁当を持つと、その場から立ち去った。


いくら何だって、清水係長が本気になったら、私は太刀打ちできない。

涙がスーッと零れた。

今、はっきり分かった。

私は、門馬の事が好きなんだって。
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