情熱的に愛して
その日の夜だった。

私は、夕食を摂らずに自室に籠っていた。


門馬が好きな事に気づいて、彼の前でどんな顔をしたらいいか分からないのだ。

しかも、今門馬の側にいるのは、あの清水係長。

どう考えたって、勝つ自信がない。


その時、ドアを叩く音がした。

門馬だ。

「市川?」

ドアの向こうから、優しい声が聞こえてくる。

「入るよ。」

私は、ドアが開くと同時に、布団の中に頭を入れた。


「本当に具合悪いのか?」

門馬が、私のベッドの隅に座った。

「うん。」

「飯、作ったのに残念だな。」


門馬が作った夕食!!

食べたい。

でも、食べられない。


「少しでもいいから、食べろよ。」
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