情熱的に愛して
お母さんは、辺りを見回した。

「それで?」

「それで……私の方が、門馬を好きになってしまったって言うか。」

その時、涙が止めどなく溢れて来た。

「でも門馬には、忘れられない元カノがいるの。それが辛くて辛くて。」

お母さんは、私を抱きしてくれた。


「お母さんね、どうしてあなた達の結婚を、すぐに許したと思う?」

「……分からない。」

お母さんは、私の髪を撫でてくれた。

「夏海がね、雪人さんの事を好きだって、分かったからよ。」

「あの時から?」

「そうよ。あなたはまだ、気づいていなかったけれどね。」

私は、目を閉じた。


私の実家に挨拶に来た門馬は、誰が見てもカッコよかった。
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