情熱的に愛して
「行こう、雪人。」

「うん……」

私と雪人は、階段を昇り始めた。

「おやすみなさい。」

お母さんが、そう言って奥へと向かって行った。


私の部屋は、2階の一番奥にあった。

「雪人、来るのは初めてだよね。」

「ああ。」

電気をつけると、私がここに暮らしていた時のままだ。

「なんだか、ごめんね。慌ただしい事になって。」

「そんなの、夏海のせいじゃないって。」

私は、自分の椅子に座った。

「どうしよう。おじいちゃん、私が本当に結婚したと思って、天国に行っちゃった。」

「夏海……」

「最近思うの。本当は、偽装結婚じゃなくて、本当に結婚するまで、待っててもらった方が、よかったんじゃないかって。」
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