情熱的に愛して
雪人は、黙ったままだった。

私も、椅子に座ったままだった。


「……とにかく、寝よう。」

静寂を打ち破ったのは、雪人の方だった。

「今は、おじいちゃんのお葬式に、気持ちを向かせるのが正解。」

私は、頷いた。


そして私達は、シングルベッドに寄り添って、横になった。

私のすぐ横で、雪人が寝息を立てている。

この景色が、私は好きだ。

好きな人が、隣で安心して眠っている、この景色が好きだ。


「雪人……」

「ん?」

「……好きだよ。」

雪人は、私を抱き寄せてくれた。

「俺もだよ。」


狭いシングルベッドの上で、気持ちを確かめ合ったのに、なぜか涙が出てきた。
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